プロ野球 2015 巨人×DeNA 25回戦 -横浜-
巨人のリーグ4連覇はならなかった。逆転でDeNAを下したが、ヤクルトが延長戦を制し、優勝を決めた。だが先発のマイコラスは、6回1/3を4安打1失点と好投。自身11連勝で13勝目を挙げると、初回の好機に凡退した長野が4回に二塁打し、同じく初回に凡打した坂本も9回に汚名返上の2点二塁打。レギュラーシーズン2位が確定し、本拠地東京Dで10日からクライマックスシリーズのファーストステージに臨み、逆転日本一を目指す。
試合が終わると、勝利の余韻に浸ることなく、全員がテレビにかじりついた。ロッカールームにある2つの画面で、ヤクルト・阪神戦を観戦。10回裏、ヤクルトがチャンスをつぶした時、11回表に阪神・ゴメスが大ファウルを放った時、ともに大歓声が起こった。奇跡を信じ、ナインは必死に虎を応援した。だが、実ることはなかった。
12年から続いたリーグ優勝は、3連覇で途絶えた。原監督は「我々は自分たちのゲームをするだけ。何も知らなかった」と、試合中もヤクルトが戦う神宮の経過を一切、耳に入れなかった。午後10時過ぎ、V逸が決まった。すでに球場を後にしていた原監督は球団広報を通じてコメントした。
「今年のヤクルトは得点力では我が軍を上回っていました。2015年のペナントレースを制することはできませんでしたが、まだまだ試合は続きます。新たな目標に向かって全力で戦っていくのみです」
先のポストシーズンにつながる戦いぶりだった。大黒柱のマイコラスが試合を作った。1点を追う4回無死一塁では、長野が右翼線二塁打。珍しく、二塁にヘッドスライディングして気迫を前面に押し出した。その姿にベンチが沸いた。二、三塁で亀井が投手強襲の2点適時打で逆転。1点リードの9回には、先頭・鈴木の左越え二塁打から2死満塁の好機を作り、初回の好機で凡退した主将・坂本が左中間二塁打で2点を追加した。指揮官は「攻撃はまだまだ手放しでは喜べないが、誰が勝負どころで打てるか、これにかかっている」。こう、前を見据えた。
首位・ヤクルトと1差で迎えた9月27日の直接対決で敗れ、相手に優勝マジック3がともった。同28日の阪神戦(甲子園)で連敗し、「M1」。翌29日、大阪から帰京した原監督は、その足で、昨年5月29日に亡くなった父・貢さんのお墓に向かった。墓前で勝負どころで負けたことを悔やみ、だが、「可能性のある限りは全力で戦う」と誓った。シーズンの雪辱を次のステージでぶつける。そう、覚悟を決めた。
「今日と同じ気持ちで、明日も戦っていく」と原監督。ナインも当然、同じ気持ちだ。かすかな奇跡を信じ、ヤクルトの敗戦を祈った試合後。その一体感、諦めない姿勢は必ず、ポストシーズンで生きてくるはずだ。